園長のお話し

たんぽぽの花のように

 

 - 井石 彰

子どもたちは幼稚園での新しい生活に少しずつ慣れてきたようです。それぞれに自分の楽しみを見つけて、遊び始めています。これから徐々にその遊びが広がり、深まっていくのを見守りたいと思います。
暖かな陽ざしのもとで、園庭でもまもなくたんぽぽがいっせいに花を咲かせます。たんぽぽが花を咲かせるのは、陽あたりの良い柔らかな土地だけではありません。石ころだらけの場所でも、コンクリートの狭いすき間でも、わずかな土地があれば、そこに根を張って、小さな太陽のような花を咲かせます。たんぽぽの花を見ると、いつもそのたくましさを感じます。
今は亡きカトリックのシスター渡辺和子さんの「置かれた場所で咲きなさい」という本が、かつてベストセラーとなりました。その中で、渡辺さんはご自分の体験を踏まえてこのように書かれていました。「置かれた場に不平不満を持ち、他人の出方で幸せになったり不幸せになったりしては、私は環境の奴隷でしかない。人間と生まれたからには、どんなところに置かれても、そこで環境の主人となり、自分の花を咲かせようと、決心することができました。」そして、読者にこのようなメッセージを残されています。「どんなところに置かれても花を咲かせる心を持ち続けよう」と。その言葉は、今も心に響きます。
私たちの「置かれたところ」は、みんなそれぞれに違っています。しかも、私たちはその「置かれたところ」、すなわち境遇を自分で選ぶことはできません。でも、その中でどのような生き方をするか、それは自分で選ぶことができます。そして、私たちは置かれたところで、自分の花を咲かせることができるのです。
私たちは子どもたち一人ひとりがたんぽぽの花のようにそれぞれの「置かれたところ」でたくましく成長をし、自分の生き方を見つけて、世界に一つだけの自分の花を咲かせてほしいと願っています。そのためにも、幼稚園は子どもたちの「置かれた」環境の一つとして、子どもたちの成長のために愛情を注ぎつづけていきたいと思います。