園長のお話し

「馬小屋のイエスさま」

 

 - 井石 彰

今年もクリスマスの季節がやってきました。幼稚園では今年も年長さんたちを中心に年中さんと年少さんも加わって、二グループに分かれて聖誕劇を行います。今、子どもたちは2000年以上も昔のイエスさま誕生の出来事に思いをはせながらその練習を行っています。
聖書に書かれているイエスさま誕生に心を向けると、そこに描かれているのは地上の権力者によって翻弄される人々の姿です。ローマ皇帝が徴税のために行った人口調査の命令に従って、ヨセフは身重のマリアを連れて生まれ故郷の町に旅をしなければなりませんでした。しかも、悲しいことにどの宿屋にも二人の泊まる場所はありません。そのために、マリアは貧しい馬小屋で出産をすることになりました。そして、赤ちゃんは布にくるまれて飼い葉桶の中に寝かされたのです。なんとも貧しい中での誕生です。その赤ちゃんこそが救い主イエスさまです。
そこに描かれているこの世の現実は、遠い昔のものではありません。今年の2月にプーチン大統領の命令でロシア軍がウクライナに侵攻して以来、それはウクライナの人々が経験してきた現実です。ウクライナの人々は砲撃によって住んでいた町や家を破壊され、電気も水道もガスもない暗闇と寒さの中に置かれて、今も不安の中で過ごしています。それは貧しい馬小屋以外のどこにも居場所のなかったヨセフとマリアと同じです。
イエスさまはその馬小屋でお生まれになったのです。でも、なぜ神さまはそのような貧しさの中に救い主を生まれさせたのでしょうか。それはこの世の現実の中で苦しみ、悲しんでいる人たちに「インマヌエル」、神さまが共におられることを知らせるためです。そして、神さまの愛を知らせて人々に生きてゆく力と希望を与えるためです。
救い主イエスさまをくださった神さまは、今も戦火の中で苦しんでいるウクライナ人たちと共におられます。ウクライナの人々だけではありません。世界中の苦しみ、悲しんでいる人たちと共におられるのです。