園長のお話し

「野菜が育つ、子どもが育つ」

 

 - 井石 彰

 幼稚園では「食育」活動の一つとして、子どもたちと野菜を育てています。園庭の畑では、5月に年長さんたちの植えた枝豆の種が芽だして、小さな葉っぱをつけています。畑のまわりには、ミニトマトやナスやかぼちゃの苗も育っています。また、プランターに蒔かれたラディッシュの種は、早くも葉を茂らせて小さな赤いかぶとなっています。きゅうりの苗もプランターの中で育っています。今年はじめて2歳児の小さな子どもたちもプランターにイチゴの苗を植えました。一週間後見てみると、そのイチゴの苗に白いつぼみが一つついていました。そのつぼみが花を咲かせ、やがて実をつけ、赤く色づいてイチゴになるのを、子どもたちは驚きの中で発見するのではないでしょうか。
 子どもたちは園庭で遊びながら、自分たちの植えた野菜の種や苗が成長していくのを日々眺めて過ごしています。その中で、自然や食べ物に対する関心を深めています。やがて子どもたちは実った野菜を収穫します。そして、それを調理して、みんなで食べることにしています。自分たちが植え育てた野菜を調理して、「おいしいね」と言って食べることで、「食べることが楽しい」という気持ちや食べ物に対する感謝の思いが育まれることを願っています。
 とは言っても、野菜の生育は私たちの思いどおりには行きません。天気に大きく左右されるからです。今年は寒さがつづいたせいか、生育が遅れぎみのようです。それでも少しずつ成長しています。植物の育つ時間は、機械のように何時何分と決まってはいません。芽を出すのにふさわしいときがくれば芽を出し、花を咲かせるのにふさわしいときが来れば花を咲かせ、実を結ぶにふさわしいときが来れば実を結びます。子どもの育ちも、それと同じです。子どもにも年齢にともなう発達過程というものがあります。しかし、その年齢は厳密なものではありません。子どもの育ちには、植物の育ちのようにそれぞれにふさわしい時があります。私たちは子どもたちのその育ちの時を信じながら、いま必要なことを子どもたちにしてあげたいと思います。