園長のお話し

「昆虫と子どもたち」

 

 - 井石 彰

この夏、ご家族で山や海などに行かれた方も多いのではないでしょうか。自然の中で遊ぶのが大好きな子どもにとっては、とても楽しい思い出になったことと思います。
 私も休み中、道南の山奥にある温泉に行ってきました。そこは、まるでセミの楽園のようで、木々にたくさんのセミがとまって、ミィーンミィーンと大合唱をしていました。それは、久しぶりに聞くセミの声でした。そのときに、「幼稚園の子どもたちにも聞かせたいなあ。きっと大喜びで、セミとりに夢中になるだろうなあ」と思いました。
 幼稚園の園庭でも、子どもたちはよく虫取りをして遊んでいます。春にはチョウチョを、秋にはトンボを捕まえようと、網を持ってかけ回っています。またスコップで地面を掘って、わらじ虫など土の中にいる虫を探していることもあります。子どもたちはそのようにして色んな虫と親しくなり、その不思議な生き物に興味を持ち始めます。
 幼稚園の廊下の壁の一角に、子どもたちが公園で捕まえてきた大きな青虫の成長の観察記録が貼ってあります。それによると、子どもたちは捕まえてきた青虫を昆虫図鑑で調べてみました。すると、その青虫は蝶ではなく蛾の幼虫であることがわかりました。それでも、子どもたちはその青虫を育てることにしました。育てるためには、その青虫が食べる葉っぱを与えつづけなければなりません。そこで、子どもたちは葉っぱをとってきては、青虫に与えつづけました。しばらくすると、青虫は茶色く変身をし始め、糸を吐き、8月初めにさなぎになりました。現在のところ、観察記録はそこまでです。今後、さなぎを破っていつ蛾が出てくるか、楽しみです。子どもたちは日ごとに変化していくこの青虫の飼育と観察をとおして、いのちの神秘、尊さ、そして責任というものを学んでいるのではないでしょうか。それは、言葉だけで「いのちの尊さ」を説くよりもはるかに意味のあることのように思われます。