園長のお話し

「アンパンマンのこころ」

 

 - 井石 彰

コロナの影響は続いていますが、運動会も無事に終わり、子どもたちはそれぞれの夏を迎えようとしています。私たち日本人にとって8月は、かつての戦争の苦しみを想い起し、平和への思いを新たにする大切なときです。その戦争では大人だけではなく、たくさんの子どもたちも犠牲になり、心に深い悲しみと傷を負いました。今日でもウクライナでは、ロシア軍の連日の攻撃によってたくさんの子どもたちが犠牲になっています。戦禍の中、不安におびえる子どもたちの顔を見るたびに心が痛みます。子どもたちにとっては、安心して遊んでいられることこそが平和です。その平和の一日も早い実現を祈らずにはおれません。
 子どもたちは「アンパンマン」が大好きで、その絵本を読み、おもちゃで遊んでいます。「アンパンマン」の作者のやなせたかしさんが、その絵本を創作した際の強い動機は、「正義とはなにか」ということでした。
 やなせさんは戦争中に兵隊として中国に行った経験がありました。そのとき、やなせさんは国家の言うことを信じて、「これは正義の戦いである」と思って戦いました。しかし、戦後、そうではなかったことを知りました。そのことから、本当の「正義とはなにか」を考えました。そして、やなせさんは言われます。「それぞれの国にはそれぞれの『正義』がある。つまり、これらの『正義』は国により立場によって変わる。でも、困っている人、飢えている人に食べ物を差し出す行為は、立場が変わっても国が違っても『正しいこと』には変わりません。それは、絶対的な正義なのです」。
 その「絶対的な正義」を行うヒーローとして生まれたのが、「アンパンマン」でした。「アンパンマン」はおなかをすかしている人がいると、アンパンでできている自分の顔をあげて、その人を助けます。神さまの御心である真の「平和」は、この「アンパンマン」の心、愛によってこそ創り出されるのです。子どもたちの中に「アンパンマン」の心が育ちますように。