園長のお話し

「生涯の土台づくり」

 

 - 井石 彰

緊急事態宣言が解除され、幼稚園もふだんの保育に戻りつつあります。冬に向かって感染の再拡大を心配する専門家の声もありますが、そのようにならないことを祈るばかりです。

コロナは多くの人たちに大きな影響を与えてきました。子どもたちも例外ではありません。コロナによってさまざまな楽しみを制限され、心が不安定になっている子どもが増えていると言われています。このようなときこそ、家族や先生たちが子どもたちの安心の基地となってほしいと思います。

先日、礼拝で子どもたちにイエスさまの語られた「家と土台」のたとえ話をしました。家を建てるときは土台が大切で、しっかりとした土台の上に建てられた家は雨風にも強いこと、しかし、土台が弱いとその上に建てられた家はもろく倒れてしまうことを話しました。イエスさまはこの話をとおして、私たちが生きていくための土台の大切さを語られました。

乳幼児期の育児は、まさに子どもの生涯の土台づくりです。その土台の上に子どもの人生が築かれていきます。そのように思うと、この時期の育児、保育がいかに重要であるかが分かります。今は亡き児童精神科医に佐々木正美先生は、この時期の育児についてこのように書かれています。「この乳幼児期の育児は、ひとことでいえば、子どもの要求や期待に、できるだけ十分にこたえてあげることです。せんじつめればそれだけのことです。そして、こちらから伝えたいことは、『こうするんだよ、そうしちゃいけないよ』と、おだやかに何回もくり返し伝えればいいのです。いらだったり、しかったりする必要はないのです。『いつできるかな』と、それだけのことでいいのです」。「十分に愛されることの喜びを与えること、育児はそれで十分なのです。人間は愛されることから、生きる喜びを感じ始めるのですから」と。

子どもたち一人ひとりが将来どのような人生を築いていくのか、そのことを楽しみにしながら、その土台づくりである乳幼児の育児、保育に心を注いで行きたいと思います。

「折れない心」

 

 - 井石 彰

度重なる緊急事態宣言に、「またか、いつまでがまんすればいいのだ」と思われた方も多いのではないでしょうか。幼稚園でも、そのたびに保育や行事の見直しをせざるを得なくなり、保護者の皆様にもご迷惑をおかけしていることを申し訳なく思います。

コロナ禍の中で、大人だけではなく子どもたちも、みんなががまんの生活を強いられています。そのような中で行われた東京オリンピック、パラリンピックは、私たちにたくさんの感動と勇気を与えてくれました。特に、障がいを持ちながら、それぞれのスポーツに磨きをかけて、全力で競技をしている選手たちの姿は、みんなの心に熱く焼きつきました。思えば、選手たちは障がいのゆえにどれだけ悩み、苦しんできたことでしょう。でも、いくどもくじけそうになりながら、それに負けない「折れない心~レジリエンス」を身につけていったのだと思います。選手たち一人ひとりの胸にあるその「折れない心」こそ、どんなメダルよりも輝いていました。

その「折れない心」は、選手ひとりの力で得たものではないと思います。その証拠に、インタビューを受けた選手たちのほとんどが、自分を支えてくれた多くの人たちへの感謝をのべていました。「折れない心」は、周りの人たちの愛とその支えの中で育てられたのではないでしょうか。

教育の世界では、幼児期に生涯にわたって役立ち、人生を豊かにする非認知能力(心の能力)を育てていくことの重要性が認められるようになりました。その非認知能力の一つに、目標に向かってがんばる力(ねばり強さ、がまんする力)があります。そのがんばる力は、家族や先生たちの愛による支えや遊びの中での友たちとの関わりをとおして育てられていきます。

コロナ禍はまだしばらく続くかもしれません。その中で、大人も子どももコロナに負けない「折れない心」を育て合っていきたいと思います。

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